【不妊治療体験ブログ】ホルモンと不妊治療で使った薬

2022年4月8日

不妊治療と切っても切れないのがホルモン。

使う薬も注射も、このホルモンの働きに関係しています。

しかし、今まで気にしていないと、プロゲステロン?エストロゲン?という状況に陥ります。

そして、その状況に拍車をかけて、LH?FSH?と新たなホルモンも出てきて、せっかく説明してもらっても、訳が分からなくなります。

そこで、不妊治療を始めるにあたり知っておきたいホルモンについて、イチアラフォー夫婦が不妊治療をするなかで学んだものを、ざっくりとご紹介します。

女性ホルモンは2種類

不妊治療をしていない方でも、女性ホルモンが二つあることをご存知の方も多いのではないでしょうか。

一つがエストロゲンというもので、もう一つがプロゲステロンというものです。

それぞれのホルモンの働きはざっくりと以下のようになります。

・エストロゲン(卵胞ホルモン):女性らしさを作るホルモン

・プロゲステロン(黄体ホルモン):妊娠の準備をするホルモン

不妊治療をする前には、
エストロゲンは女性らしくいられるのに役立つのでいいホルモン、
プロゲステロンは、生理前にいらついたりするから嫌なホルモン
と思っていましたが、妊娠するには双方がとても大事なホルモンになるようです。

不妊治療で覚えておきたいホルモン

しかし、不妊治療でよく耳にしたホルモンは女性ホルモンだけではありません。

以下の8個が不妊治療でよく耳にしたホルモンになります。

ホルモンの名称
1GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)
2FSH(卵胞刺激ホルモン)
3エストロゲン(卵胞ホルモン)
4LH(黄体化ホルモン)
5プロゲステロン(黄体ホルモン)
6PRL(プロラクチン)
7AMH(抗ミュラー管ホルモン)
8hCG 

おおよそこの8個を覚えておけば不妊治療で、

先生の言っていることが理解できない…

看護師さんが説明してくれたのに訳分からない…

という状況にはならないでしょう。

これらのホルモンのことを知っていると、不妊治療で、なんで薬を使うのかが少し分かってきますので、しばらくお付き合いください。

排卵までに関係するホルモン

妊娠をするためには、女性の体で排卵が起きる必要があります。
毎月生活していると生理のほうが重要なことのように思えてしまいますが、不妊治療で大事なことは排卵なんだそう。

その排卵を助けるホルモンが以下の4つになります。
これらのホルモンが働いて排卵が起こっているのです。

排卵を助けるホルモンが、なぜ4つもあるかというとそれぞれホルモンが分泌されているところや役割が違うからです。以下が、それぞれのホルモンが分泌される場所です。

ホルモンの名称分泌される場所
1GnRH 性腺刺激ホルモン放出ホルモン視床下部
2FSH 卵胞刺激ホルモン下垂体
3エストロゲン(卵胞ホルモン)卵胞
4LH 黄体化ホルモン下垂体

なんとなくホルモンというと、卵巣あたりから出ているのではないかと思いますが、エストロゲン(卵胞ホルモン)以外は、脳から出ています。

そして、排卵が起こるためにはドミノ倒しのように、それぞれのホルモンが働いていくのです。

順番に見ていくと、まずは脳にある視床下部というところから性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRh)というものが放出されます。

すると、脳の下垂体というところから卵胞刺激ホルモン(FSH)というものが卵巣に向かって放出されます。

そしてこのホルモンの働きによって卵巣内の卵胞が育ち、卵子が成熟していきます。

そして卵胞が育っていくと卵胞でエストロゲンが増加していくそうです。

図で表してみると以下のようになります。

このようにして作られたエストロゲンは、子宮内膜を再生したり、頸管粘液の分泌を促したりして妊娠の準備を整えるそうです。

そして卵胞が十分に成熟して血液中のエストロゲンが一定のレベルに達すると、変化が起きます。

まず、エストロゲンを視床下部で感知します。

すると、また性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRh)が放出されます。

これだけ見ると、まるで循環しているように見えますが、エストロゲンが一定レベル以上になっていると、下垂体で分泌されるホルモンが卵胞刺激ホルモン(FSH)から黄体化ホルモン(LH)へと変わります。

そして、この黄体化ホルモン(LH)が出ると、卵胞が破裂して卵子が卵管に飛び出して排卵が起こるとされています。

図で表すと以下のようになります。

分かったような、分からないような。という感じですが、不妊治療で使う薬と照らしてみてみると、もう少し分かりやすくなります。

不妊治療で使う薬とホルモンの関係

クロミッドとホルモン

不妊治療のタイミング法では、排卵誘発剤としてクロミッドを使うことがよくあります。

このクロミッドは排卵を誘発するわけですが、はたらきかけるのは卵巣ではなくて、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRh)を分泌させるために視床下部に働きかけるのだそうです。

一番起点のホルモンになりますね。

遠回りに見えますが、その結果として卵胞刺激ホルモン(FSH)を分泌させて、エストロゲンを分泌させて、黄体化ホルモンを分泌させて排卵を促しているそうです。

HMG注射とホルモン

次にタイミング法や体外受精などでよく使われるHMG注射についてみていきたいと思います。

HMG注射は、クリニックでの説明では、卵胞を育てるために打つと言われます。

なんで注射を打って卵胞が育つの?

と思いますが、このHMG注射を打つと、卵胞刺激ホルモン(FSH)の生成が促されて卵胞が育つそうです。

二つ目のホルモンですね。

クロミッドとは、違うホルモンに働きかけて卵胞を育てているそうです。

排卵抑制をする薬とホルモン

次に体外受精の採卵周期でよく使われる排卵を抑制する薬についてみていきたいと思います。

採卵周期は、卵胞を育てる中で、排卵が起こってしまうのを抑制する薬を使います。

私は、ブセレリンという点鼻薬を使用しました。

この薬は、下垂体から出るFSHLHの分泌を抑制する働きがあるそうです。

こうしてホルモンの分泌を抑えることで、排卵を起こらないようにしているそうです。

排卵させる薬とホルモン

次に体外受精の採卵周期で採卵前に使われる排卵させる注射についてみていきたいと思います。
hCG注射というもので、これには排卵を促すLH(黄体化ホルモン)が含まれているのだとか。

つまり、これを打つと排卵するとのことで、採卵前に注射をしました。

排卵検査薬とホルモン

次にタイミング法でよく使われる排卵検査薬についてみていきたいと思います。

排卵検査薬は尿検査でLH(黄体化ホルモン)のサージを見ています

これは、排卵前に出るホルモンでしたよね。

このホルモンが出ているということは、もうすぐ排卵が起きるということを示しているというわけです。

移植周期のエストロゲン補充薬

次に体外受精の移植周期でよく使われるエストロゲン補充薬についてみていきたいと思います。

私は、体外受精で受精卵を移植するときは、排卵を起こさせずに、代わりに薬でホルモンを出すことで子宮内膜を厚くして着床の準備を整えました。

このほうが安定しやすくスケジュールも立てやすいのだとか。

そのため、卵胞が育っていませんので、エストロゲンが出ません。

そうすると、子宮内膜を厚くすることができないので、移植に合わせて決められた日まで、プレマリンというエストロゲンを補充する薬を服用しました。

薬でホルモンを変動させると・・・(体験談)

このように不妊治療で使う薬には、ホルモンを補充することで卵胞を育てたり、排卵を起こしたりする治療があります。

女性の方は、生理前に女性ホルモンの影響でいらいらしたりすることでお分かりだと思いますが、ホルモンの変動は精神状態や体に影響をもたらします

そのため、私は薬の副作用でいらいらしたり、頭が痛くなったり、体がほてったり、吐き気がしたりすることがありました。

この副作用の影響は、想像しているのと、経験してみるのとは大きな違いでした。

頭では不妊治療が必要なことが分かっているのに、無性にイライラして、夫にあたってしまうなんてことも起きてしまいました。

このあたりのことは、男性も理解してもらえると不妊治療が進めやすくなるのだと思います。

排卵後に分泌されるホルモン

次に排卵した後に、分泌されていくホルモンについてみていきます。

 不妊治療で覚えておきたいホルモンのうち、排卵後に分泌されるホルモンは一つ。

プロゲステロン(黄体ホルモン)です。

これは卵巣から分泌されます。

排卵する前は、卵胞からはエストロゲンが出ていました。

これは子宮内膜を再生したり、頸管粘液の分泌を促進させたりして、受精を助けるホルモンでしたね。

ところが、卵胞が破裂して排卵すると、卵胞は黄体というものに変わります。

そして、この黄体から出るホルモンがプロゲステロンというわけです。

黄体から出るので黄体ホルモンとも言います。

このプロゲステロンは、子宮内膜を整えて、妊娠しやすい状態にする働きがあります。

また、体温を上げる働きがあるので、基礎体温が排卵を境に二層に分かれるのは、このホルモンの影響になります。

不妊治療でプロゲステロン(黄体ホルモン)が登場したのは、私の場合は2回でした。

1回目は不妊治療を開始した際の、高温期の血液検査です。

ここでプロゲステロンの値を調べ、値が低いと黄体機能不全といって、受精卵が着床しにくい状態になり不妊の原因になるため、検査をしました。

そしてもう一つは、体外受精の移植周期の薬でした。

詳しくは、体外受精に関する記事で書きましたが、移植周期は、排卵を起こさないで移植をします。

すると、黄体がないのでプロゲステロン(黄体ホルモン)が出ていません。

プロゲステロンが出ていないと、子宮内膜を整えることができないので、プロゲステロンを出す薬を処方されました。

私の場合はプラノバールという薬でした。

気に留めておきたいホルモン

以上が排卵にともなって分泌されるホルモンでしたが、他にも不妊治療で気に留めておく必要があるホルモンがあります。

それは、PRL(プロラクチン)AMH(抗ミュラー管ホルモン)です。

プロラクチン

そのうちの一つがPRL(プロラクチン)というホルモンです。

このホルモンは授乳のためのホルモンです。

このホルモンは、授乳しやすくするために、卵巣の機能を抑えて、生理を来なくしたり、排卵しなくしたりするのだそう。

つまり、これが高くなってしまうと不妊の原因になるので、この値も不妊治療の初期に検査して高い値でないかを確認しました。

私の場合は、不妊治療を開始するときの検査で、基準値上限ギリギリだねと言われたのを覚えています。

そんなことを言われたら気にしますよね。

なので検索の鬼と化しました。

プロラクチンを下げるには漢方の麦芽が効くのだそう。

しかし、麦芽は高いのです。

なので、眉唾物ですが、麦芽から出来ているミロを飲んだりしました。

そのあとに血液検査をしていないので、果たして効果があったのか、なかったのか?

体に悪いものではないですし、まぁ良しとしましょう。

抗ミュラー管ホルモン(AMH)

その他に、もう一つ気に留めておきたいホルモンに抗ミュラー管ホルモン(AMH)があります。

これは、卵巣予備機能を測るためのホルモンです。

あとどれくらい卵巣に卵子になる元が残っているかを推測するホルモンだと説明を受けました。

高ければ、卵子になる元がたくさん残っていて、卵巣年齢が若いといえると思うかもしれません。

しかし、一概には言えず、多嚢胞卵巣症候群の場合でも高くなるそう。

私は、体外受精の前に、この抗ミュラー管ホルモン(AMH)を検査しました。

その結果と年齢を考慮して、体外受精の採卵周期における卵巣刺激法を決めていくのだそうです。

妊娠したら出るホルモン

そして、最後に妊娠したら分泌されるホルモンを紹介したいと思います。

それはhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)です。

妊娠をすると受精卵からhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)というものが分泌されます。

体外受精で移植後の判定日では、このホルモンの値を尿検査で測定して妊娠判定をしました。

人によっては血液検査で判定することもあるそうですが、私は尿検査のみでした。 ちなみに、妊娠検査の尿検査の仕組みは市販のものと変わらないものです。

不妊治療で知っておきたいホルモンまとめ

以上が、不妊治療で知っておきたいホルモンでした。
まとめてみると以下のようになります。

1GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)
2FSH(卵胞刺激ホルモン)
3エストロゲン(卵胞ホルモン)
4LH(黄体化ホルモン)
5プロゲステロン(黄体ホルモン)
6PRL(プロラクチン)
7AMH(抗ミュラー管ホルモン)
8hCG 

ホルモンを知ると、なんのための薬なのか、なんで自分の体は反応しているのかが分かります。
私の場合は、それで治療に少しだけ前向きになれたような気もします。

この記事がこれから不妊治療を始める方の参考になれば幸いです。



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