【不妊治療体験ブログ】SEMA4という遺伝子検査をやってみた
アメリカの不妊治療で医師から勧められたのが、遺伝的な病気のリスクを調べるために、遺伝子検査をやってくださいねということでした。
なんでも血液検査をすることで、子孫がどのくらいの確率で遺伝的な病気を持って生まれてくるかが分かるとのこと。
医師から勧められたので、言われるがままに受けてみた体験談をご紹介します。
目次
遺伝子検査とは?
アメリカで不妊治療をすると、遺伝子という言葉はよく聞きます。
一番初めに耳にするのが、体外受精をするときにCCSといって体外受精でできた胚盤胞の全染色体を診断するものです。
日本では両親のどちらかが遺伝的に要因があるなどが分かっていなければなかなか使うことができないものですが、アメリカではお金さえ払えば、選択することができます。
だいたい費用は3500ドルくらい。
胚盤胞ができてから、検査をするのに2-3週間くらいかかるらしので、すべて凍結胚移植にする必要があります。
検査の結果、胚盤胞の全染色体を調べて異常がないものだけを胚移植といってお腹の中に戻していく作業が行われていきます。
着床前に全染色体を調べる検査自体はアメリカの医療保険が適用にならないことが多いもので、自費治療となるものですが、不妊治療をする際には、医師からCCSをするように強く勧められます。
不妊治療で医師から説明された遺伝子について
なぜ、医師から着床前全染色体診断(CCS)を強く勧められるかというと、アメリカの不妊治療は結果(成功率)にコミットしているからです。
医師ごとの体外受精の件数と成功率がネット上で簡単にチェックできます。
そのため、医師の成績を下げないためにも着床前全染色体診断(CCS)が強く勧められるというわけです。
私が診察をした際に、担当してくれた医師から説明を受けた内容は以下の通り
- 染色体が正常な胚盤胞を移植できた場合の生産率は65%~75%
- 染色体が正常な胚盤胞を移植すると流産率もとても低い
- しかし胚盤胞ができても、染色体が正常な胚盤胞である確率は年齢によって低下していく
- 染色体が正常である胚盤胞の割合は38歳で50%だが、39歳で43%、40歳で37%である
- そのため染色体が正常である胚盤胞を得るために一回の採卵で10-20個の卵子を採れるようにしていきましょう
ということでした。
また、同じ病院に通っていた同い年の友達は6個胚盤胞が取れたうち、すべてを着床前全染色体診断(CCS)したところ、正常だったのはたった1つだったとのこと。
しかし、繰り返し体外受精の胚盤胞移植で失敗していたにも関わらず、正常な胚盤胞1つを移植したら、その移植で妊娠して子供を産んだとのこと。
つまり、結果にコミットするならば、不妊治療では遺伝子が正常であることがとても重要ということがよく分かりました。
染色体パネル検査とは
体外受精をする上で、胚盤胞の着床前全染色体診断(CCS)も勧められる一方で、もう一つ遺伝子に関する検査で勧められたのが染色体パネル検査というもの。
名称はSEMA4といって、こちらも希望があれば検査をするけど、医師からはぜひ受けるようにとお勧めがありました。
検査は血液検査で行われて夫婦二人で受ける場合は、一人目の費用は259ドル、二人目の費用は100ドルと説明を受けました。
これは、親となる夫婦それぞれの染色体を調べて、子供にどのような染色体異常が出る可能性があるかということを調べるものだそうです。
不妊治療をするにあたって、考慮すべき染色体異常が発生する可能性があるならば、予め知っておいて家族計画に役立てましょうということみたいです。
日本では、こうした染色体パネル検査を受けることができませんが、アメリカではお金さえ払えば受けられます。
せっかくの機会なので、この検査を受けてみることにしました。
検査の流れ
検査自体はいたって簡単に行われます。
不妊治療を開始すると、男性も女性も血液検査が必要になるのですが、その際に染色体パネル検査用に4本の血液を採取しました。
ちなみに、アメリカの不妊治療の最初の血液検査は容赦ない印象でした。
なんと採取した血液は大きいものが8本、小さいものが4本の計12本。
人生で初めてこんなたくさんの血液検査を一度にしました。
そして待つこと約3週間。
結果が出ましたというメールが届き、その結果を公開するためのカウンセリングを予約してください。という案内が届きました。
英語が得意でない私たちは、最初に結果をもらって、その上でカウンセリングを受けたかったのですが、それは無理で、カウンセリング後に結果が見れるということでした。
恐る恐る英語でカウンセリングの電話をしたところ、英語に四苦八苦してると、
「通訳いる?」
と聞かれて日本語の通訳を付けてもらうことができました。
ほっ。
カウンセリング当日は、電話でSEMA4のカウンセラーと日本語通訳の方と3者通話を20分ほど受けて、カウンセリングは終了しました。
検査結果の説明
医師に勧められるがまま検査を受けたので、検査の内容についてよく分かっていませんでしたが、カウンセラーによる結果説明で、どんな検査を受けたのか、どんな結果だったのか、ということがよく分かりました。
まず、染色体パネル検査、通称SEMA4という検査は502種類の条件で、子供が遺伝的な病気を持って生まれてくる可能性を調べたものでした。
遺伝子的に異常があるけれど、その症状が出ていない人のことをキャリアというらしく、両親ともにキャリアでなければ、遺伝的な病気を持って生まれてくる可能性はかなり低いということが言えるそうです。
もし、両親ともに同じ染色体異常のキャリアだった場合、次のような影響を受けるそうです
- 25%(4人に1人)はその病気を持った子供が生まれる可能性がある
- 25%(4人に1人)は染色体異常を持たずに生まれる可能性がある(ノンキャリア)
- 50%(2人に1人)は染色体に異常があるけれど症状が出ないキャリアとして生まれる可能性がある
もし、両親ともに同じ病気のキャリアだった場合は、生殖に関する選択肢を提供し相談に乗ることができますとパンフレットに書かれていましたが、アメリカの場合は第三者による卵子提供とか、精子提供とかになるのでしょうか。
このあたりは確認できませんでした。
私たちの結果では夫が3種類の遺伝的な病気のキャリア、妻が2種類の遺伝的な病気のキャリアだということが分かりました。
しかしそれぞれが違う病気のキャリアでしたので、子供に遺伝する可能性は低いという説明を受けました。
説明を受けた際に、自分自身が遺伝的な病気のキャリアであることに、軽くショックを受けましたが、カウンセラー曰く
- キャリアであることは珍しいことではない
- 人々は何らかのキャリアを持っている
- キャリアだからと言って病気というわけではない
という説明を受けました。
また、自分自身がキャリアであったものは親族とも共有してほしいと言われました。
自分自身がキャリアであったということは、両親どちらかがキャリアであったということで、兄弟姉妹やいとこなども、そのキャリアを持っている可能性が高いのだそうです。
キャリアだと言われたものについて
検査の結果、夫は3種類、妻は2種類のキャリアだと言われました。
病気の名前だけ聞いてもピンときませんが、記録までに記しておきたいと思います。
夫がキャリアだったもの
- ニメチルブテリアルグリセネリア (子供に遺伝する確率は1,600人に1人)
- 運動失調性距骨拡張症 (子供に遺伝する確率は26,000人に1人)
- 肢体型筋ジストロフィー2L型 (子供に遺伝する確率は3,000人に1人)
妻がキャリアだったもの
- サンドホフマン病 (子供に遺伝する確率は3,000人に1人)
- ウォールマン病 (子供に遺伝する確率は10万人に1人)
それぞれの病気の説明は遺伝する確率が低いということで割愛されましたが、後に自分で調べてみたところ、とても重篤なもので怖くなりました。
カウンセラーとカウンセリングできなかったら、不安だけが一人歩きしてしまうので、カウンセリングは必須だなと感じた次第でした。
個人的な感想
検査を終えてみての感想としては「安心した」というところでした。
しかし、個人的に日本人的な考えだと思いますが、第三者から精子提供や卵子提供を受けて子供を授かるということに高いハードルがあります。
そのため、万が一、夫婦ともにキャリアだった場合、子供を持つという選択肢を諦めただろうなと思います。
ただし、先に書いたように両親ともにキャリアだった場合、遺伝的な病気を持って生まれてくる確率は25%なわけで。
もしかしたら知らないほうが良いということもあるのかなという考えがふと頭をよぎりました。
ところで、アメリカは卵子提供や精子提供や胚盤胞について、非常によく目にします。
例えば、体外受精をして胚盤胞が残った場合、どうしますか?というアンケートがあったりします。
選択肢の中には、廃棄、寄付するという項目が並んでいます。
また、卵子提供のボランティアも非常によく目にして、報酬として1万ドル程度がもらえるのだとか。
こうした場合は、染色体パネル検査が非常に重要になってくるので、この検査は必須なんだそうです。
私は根っからの保守的な日本人なので、自分の卵子を提供することや、余った胚盤胞ができたとしても廃棄してくださいとアンケートに答えてしまいました。
しかし、様々な要因があってどうしても子供がほしい夫婦や同性愛カップルにとっては、家族を持つための唯一の道だったりするので、難しい問題だなと思いました。
遺伝子検査SEMA4のまとめ
以上が、アラフォー夫婦が不妊治療を通じて受けた染色体パネル検査の体験談でした。
まとめると
- 検査方法は血液検査(小さいもの4本分)
- 分かることは自分が遺伝的な病気の遺伝子を持っているか(キャリアか)ということ
- 夫婦ともにキャリアだった場合、子供に遺伝する確率は1/4
- 費用は夫婦二人で359ドル
- 検査に必要な期間は約3週間
でした。
日本では、同じような検査を受けることはできませんが、様々な病気のリスクを調べる遺伝子検査も出てきているようです。
唾液で調べるだけと簡単そうですね。
ミドリムシで有名なユーグレナのものもあります。
遺伝子検査などについては、様々な意見もありますが、個人的には科学の発展は受け入れたいと思っています。
もし、遺伝子検査にご興味のある方は、この機会に受けてみてはいかがでしょうか?
この記事がこれから不妊治療を始める方の参考になれば幸いです。